1.住宅や住宅資金贈与は非課税であっても確定申告が必要だよ!
お仕事になるのかな、案件としてご相談が。
親から少し援助してもらって家買った(残りは住宅ローン)っていう知り合いがいるんだけど、贈与税って精算課税贈与使えばいいんだよね?
依頼するとしたら、なに集めてもらったら良い?
本音を言えば、直接会うなり電話するなりして説明できた方が楽なんだけど、
紹介者経由っていうフィルターが入っているので、まとめてやるぅー!
(1回のメールよりブログの方が何回でも使いまわせるじゃん、っていうズルかしこ)
この手の相談は、使う特例がびみょーに違ったりするのでマトリックス図やで!
なお、住宅ローン控除の記事は既にあるのでそちらを見て!
文字の色を変えているのは意図があります。
青字は【非課税】という一定金額までは贈与税も相続税も無税で済むタイプ
緑字は【課税繰延】贈与の時は一定金額まで無税だけど、相続税で税金払うかもタイプ
灰字は【課税】が普通にされるタイプ(免税要素が少しはあるけども)
で、非課税とか課税繰延って、いわば特別扱いという位置づけなので、活用するためには要件があるんですよ。
今回で言えば、本当に自宅なのか?といった物の要件、もらう人が配偶者や子供なのかといった人の要件
そうすると、要件をクリアしていることを伝えておかないかんの、納税0円であっても確定申告が必要になるわけです。
業界では(確定)申告要件のある規定なんて言いますね。
2.各規定の内容と要件をざっくりまとめておきます。
とりあえずざっくりね。詳細は各記事に分けた方がいいと思うので。
① 贈与税の配偶者控除
長いこと連れ添った配偶者(婚姻して20年経つ夫妻)間の住宅や住宅の購入資金の贈与は、財産額にして2,000万円まで無税でええよ。っつー制度です。
なので、2,500万円とかプレゼントしたら贈与税はかかりますよ。
ステップ1(課税財産の計算)
贈与財産 2,500万円 - 配偶者控除 2,000万円 ー 基礎控除 110万円
= 課税財産 390万円
ステップ2(贈与税額の計算)
課税財産 390万円 × 最高税率20% - 税率調整25万円 = 納税額53万円
※1 基礎控除はどんな贈与も年110万円までは無税で良いよっつ-奴です。
他にももらっていても基礎控除は全体に対して 110万円で固定です。
※2 税率は課税財産が多額になるとめっちゃ高くなります。
一番高くなる 3,000万円超は55%っス。超過累進税率っていいます。
確定申告に当たっては、次のような資料を提出するっス!
戸籍とか戸籍の附表は市区町村役場で取れるっス!
(もらったのが不動産なら)
□1 贈与後に取り寄せた戸籍(20年の婚姻期間の確認)
□2 贈与後に取り寄せた戸籍の附表の写し(住んでいることの確認)
□3 もらった不動産の登記事項証明書(もらったことの確認)(もらったのが購入資金なら)
□1 贈与後に取り寄せた戸籍(20年の婚姻期間の確認)
□2 贈与後に取り寄せた戸籍の附表の写し(住んでいることの確認)
□3 もらった現金で購入した不動産の登記事項証明書(購入の確認)
□4 購入した又は建築した不動産の契約書(購入の確認)
あと、建物や土地そのものの贈与の場合には、不動産の評価が必要になるので、評価明細書の作成と評価のための資料も必要になるっス。
ここまで行くと自力は難しいので、固定資産税評価明細書(毎年届く方)又は固定資産税評価証明書をもって税理士に相談やで!
② 相続時精算課税贈与
主に年配の親(60歳以上)から成人した子(20歳以上)への贈与の際に使える制度です。
累積 2,500万円まで特別控除して無税で贈与できますよっつー大盤振る舞い(ややウソ)
あげる財産に縛りはないので、金銭、不動産、株式なんでもOKですが住宅取得資金なら③の非課税制度を使った方がいいと思います。
補足としては
⑴ 祖父母から孫への贈与も年齢クリアしていればOKです、
娘の夫とかも婿養子にしていれば、子ではあるのでOK
ルールが直系血族(家系図の上から下)なので、兄弟間や甥姪へとかは無理っす。
⑵ 課税の繰り延べという位置づけなので、相続時には特別控除を無視して、相続財産として相続税がかかります
他の財産と合わせても相続税の基礎控除以下なら相続税も無税で済みますが。
相続税の基礎控除は【固定枠3,000万円+人数枠600万円×相続人の人数】です。
計算のイメージはこんな感じ
① 平成27年に不動産 2,000万円を贈与
贈与財産 2,000万円-特別控除 2,500万円
=課税財産△500万円⇒贈与税なし② 平成28年に株式 600万円を贈与
贈与財産 600万円-特別控除 500万円=課税財産 100万円
課税財産 100万円×贈与税率 20%= 納税額 20万円
※ 特別控除の残り 2,500万円- 2,000万円= 500万円③ 平成29年に自動車 300万円を贈与
贈与財産 300万円-特別控除 0万円=課税財産 300万円
課税財産 300万円×贈与税率 20%= 納税額 60万円
※ 贈与税率は課税財産が多くなっても一律20%っス!④ 平成30年に相続が起きたら・・・
相続時の遺産 5,000万円+これまでの贈与財産 2,900万円
= 相続税の対象財産 7,900万円
8,100万円に対する相続税が 660万円※だとしたら・・・
相続税の負担額 660万円-既に払った贈与税80万円= 納税額 580万円
※ 相続税は、相続の時にお子さん1人が相続人だったテイで計算してます。
対象財産 7,900万円 - 基礎控除 3,600万円 = 課税財産 4,300万円
課税財産 4,300万円 × 最高税率20% - 税率調整控除200万円
= 相続税負担額660万円
・・・ね。やや無税とかウソだったでしょ!?
まぁ、家族の人数が多ければ控除も増えるし、一番税金が高くなる設定で計算しましたけど
確定申告に当たっては、次のような資料を提出するっス!
戸籍とか戸籍の附表は市区町村役場で取れるっス!
□1 相続時精算課税選択届出書(作成する)
□2 もらった人の戸籍謄本(親子関係の確認)
□3 もらった人の戸籍の附票の写し(20歳以上の確認)
□4 あげた人の戸籍の附票の写し(60歳以上の確認)
もちろん建物や土地そのものの贈与の場合には、不動産の評価が必要になるので(以下略)
③ 住宅取得資金贈与・・・?
主に親から成人した子(20歳以上)への贈与の際に使える制度です。
住宅資金限定で非課税で贈与できますよって制度です。
⑴ 祖父母から孫への贈与も年齢クリアしていればOKです、
娘の夫とかも婿養子にしていれば、子ではあるのでOK
ルールが直系血族(家系図の上から下)なので、兄弟間や甥姪へとかは無理っす。
また、あげる側(父母や祖父母)の年齢は不問です。
⑵ 非課税なんですが、金額の設定がごちゃごちゃしてまして・・。
国税庁のタックスアンサーをそのままコピペするとこんな感じ
イ 下記ロ以外の場合
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
平成28年001月1日~平成32年03月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
平成32年04月01日~平成33年03月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
平成33年04月01日~平成33年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
ロ 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
平成31年04月01日~平成32年03月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
平成32年04月01日~平成33年03月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成33年04月01日~平成33年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
わかりづらいよねー。
ポイントは次の3点
① 購入などの契約がいつか?(贈与の時期ではない点に注意!)
② 購入に際し、消費税の支払はあるのか?
⇒ 個人間の中古物件の売買だと契約書に消費税が載らない(=ロに該当しない)
③ 住宅の種類が省エネ又は耐震の一定の基準をクリアできているか?
といったところです。
あー、あと大前提として、そもそもこの特例が使えない人・家もあります。
人の要素として
その年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円を超えているとアウトです。
年収ではないので、サラリーマン年収2,220万円くらいから厳しくなってくるかと。
唐突に脱線。
年収850万円を超えるサラリーマンは増税って話を前に書きましたが、給与所得控除から基礎控除への振替って、、この判定にも影響するよな・・・。
さりげなさすぎる。。。。
家の要素だと、中古住宅だと要件がくっついてくることがありますね。
OKなのは
床面積が50㎡以上、かつ
⒜ 新築住宅
⒝ 中古住宅で地震に対する安全性に係る基準に適合するもの
⒞ 中古住宅(耐火建築物)で築25年以内
⒟ 中古住宅(その他)で築20年以内
のどれかです。
ただし、上記をクリアできていない中古住宅でも購入後に耐震改修をすれば⒝に準じて取り扱ってくれることもあります。
基本的には住宅ローン控除の要件と同じっす。
非課税枠を超える贈与の時は、相続時精算課税なら②相続時精算課税贈与の方法に準じて、それ以外なら①配偶者控除の贈与に準じて、計算することとなります(サボリ)
確定申告に当たっては、次のような資料を提出するっス!
□1 もらった人の戸籍謄本(年齢の確認)
□2 あげた人の戸籍謄本(親子関係等の確認)
□3 確定申告のない人は、その年の給与所得の源泉徴収票など
(所得2,000万円以下の確認)
□4 住宅用家屋と土地に関する登記事項証明書
□5 中古住宅で特例を受ける場合
① 耐震基準適合証明書
② 住宅性能評価書の写し
③ 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の締結を証する書類
□6 売買契約書や請負契約書の写し
□7 省エネ等住宅として特例を受ける場合
次のどれかの書類
① 住宅性能証明書
② 建設住宅性能評価書の写し
③ 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し+住宅用家屋証明書の写し
④ 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し+認定長期優良住宅建築証明書の原本
⑤ 低炭素建築物新築等計画認定通知書の写し及び住宅用家屋証明書の写し
⑥ 低炭素建築物新築等計画認定通知書の写し及び認定低炭素住宅建築証明書の原本
□8 住民票の写し(住んだことの確認)
・・・・やっぱ、住宅取得資金贈与はざっくりは無理だ!
コンタクトとって話しながらでないと答えられません。
イメージ的には
年齢や関係を説明するための書類(戸籍謄本等)
所得が2,000万円以下だよという書類(確定申告書や源泉徴収票)
住宅を買ったよという意味の書類(売買契約書など)
住宅が省エネ住宅等だよという書類(住宅性能証明書など)
築20年・築25年を超えている中古住宅だけど要件クリアしているよという書類
(耐震基準適合証明書)
買ってから住んだよね?を確認する書類(住民票の写し)
という感じですかね。
今回は、同じ住宅関係の贈与でも、もらった人・もらった物で特例が違う
結果、要件が違う、課税の仕方が違う、集める書類が違う
という事だけ伝いたかった記事なので、こんなもんで良いです。つーか書きすぎた。
各論別のまとめはすぐには書けない気がするので、国税庁のチェックリストを貼って今回は逃げたいと思います。
俺、ドンマイ!