不動産投資を昨年始められた方、揚々確定申告のシーズンが近づいて来ましたね。
ご自身でやるにせよ、税務署の無料相談会に行くにせよ、税理士に依頼するにせよ、必要書類が集まっていなければ始まりません。
という訳で、今回は必要資料の解説です。
1.プロフィールとしてまとめておくもの
ご自身でやる場合は、まとめるまでもなくわかることですが、相談や依頼に行く場合には次の情報を1枚にまとめておくのが好ましいです。
① 氏名(フリガナ)
② 住所(現在)
③ 住所(平成30年01月01日・住民票ベース)
④ 性別
⑤ 生年月日
⑥ 連絡先(固定・携帯・メールそれぞれ)
⑦ 税理士からの連絡先・連絡時間帯の希望(⑥から選ぶ感じ)
⑧ 還付金の振込先(銀行・郵便局どちらも可)
例)〇〇銀行〇〇支店 〇〇預金№〇〇〇〇〇〇〇
2.不動産投資以外の資料として必要になるもの
一覧としては次の通りです。物件購入が年末ギリギリとかでなければ、1月末までには揃っているはずですよ!
不足があれば、個々の発行元に問い合わせましょう!
① 平成29年分の給与所得の源泉徴収票(サラリーマン)(原本)
② 平成29年分の公的年金等の源泉徴収票(年金受給者)(原本)
③ ①に記載されている扶養家族の生年月日と続柄(メモでOK)
④ 不動産投資以外の投資があれば次の書類
これは種類が多いので一例です。
何が必要かは併せて税理士等に相談しておきましょう。
イ 株式投資・・・・・・・・・特定口座取引報告書、配当金通知書(原本)
ロ 先物取引・・・・・・・・・先物取引の報告書
ハ 仮想通貨・・・・・・・・・エクセルなどの購入・換金状況がわかるもの
ニ 個人年金・・・・・・・・・保険会社からの年金支払通知書
ホ 同族会社への金銭貸付・・・年間推移の試算表など、貸付金の推移が追えるもの
⑤ 年末調整で会社に提出していない生活費控除(所得控除)関係
これらは会社に年末調整で提出していれば、源泉徴収票に反映されているので不要です
というか、そもそも手許に原本が残っていないはず。
イ 会社天引以外の社会保険料・・・・・・・〇〇保険料の証明書(原本)
ロ 小規模企業共済に加入・・・・・・・・・小規模企業共済掛金の証明書(原本)
ハ 生命保険に加入・・・・・・・・・・・生命保険料控除証明書(保険会社別)(原本)
ニ 自宅で地震保険に加入・・・・・・・・・地震保険料控除証明書(原本)
ホ 住宅ローン控除あり(2年目以降)
1年目は必要書類がもう少し多いです。こちらを参照ください。
・ 住宅借入金等残高証明書(原本)
・ 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(原本)
ヘ ふるさと納税などの寄付・・・・・・・・寄付金の領収書(原本)
※ ワンストップ特例は確定申告される方は使えないので注意!
ト 医療費控除・・・・・・・・・・・・・・医療費の領収書(原本)
※ 医療費控除の明細があらかじめまとめてあると、すっげー助かります。
3.閑話休題(不動産会社と一口に言っても・・・)
不動産投資を行う場合に関わることとなる”不動産会社”は多岐にわたります。
可能性があるものを予めリストアップ=用語付けをしますね。
わかりやすさ優先なので、業界用語という訳ではありません。
1つの不動産会社が複数の業務を兼任しているケースもありますよ!
① 売主である不動産会社
不動産会社が自社物件として所有している場合には、売主が不動産会社ということになりますね。
とりあえず【売主不動産会社】と呼びましょう。
② 仲介業者である不動産会社
不動産会社以外の人(個人や一般企業)から購入する場合だと、仲介と契約書作成をする不動産会社が存在します。
とりあえず【仲介不動産会社】と呼びましょう。
③ 借主である不動産会社
サブリース契約や家賃保証契約の場合には、オーナーは不動産会社に物件を貸出し、不動産会社が入居者との賃貸借契約を結ぶ形になります。
とりあえず【サブリース会社】と呼びましょう。
④ 入居管理をする不動産会社
通常の契約の場合、入居管理として次のような業務を不動産会社に委託します。
会社勤めをしていない純粋な大家さんだと、コストを浮かすために自分でやっている人も中にはいますけど。
とりあえず【入居管理会社】と呼びましょう。
・ 入居者からの家賃回収代行
・ 更新契約の手続
・ 退去時手続・原状回復・敷金精算
・ 入居者募集・入居時手続
⑤ 物件管理をする不動産会社
不動産物件の定期修繕・大規模修繕などを行う不動産会社です。
通常、物件単位で決まっているものなので、区分マンション投資だと自分で選ぶことはできません。(マンション管理組合の総会で変更することはありますが)
とりあえず【物件管理会社】と呼びましょう。
4.不動産投資に関して必要となる資料の一覧
物件の購入時期が年末でなければ、1月末にはおおよその書類がそろっているはずです。
なお、購入した不動産会社により資料の形態は異なるので1つの参考としてご覧くださいませ。
① 売主不動産会社又は仲介不動産会社から受領する資料
不動産の契約に関する書類としてゴツいファイルに綴じこまれているケースが多いです。
下記②~〇の購入時経費関係の資料もこのファイルの中に入っているケースが多いので、まずこのファイルからチェックしていくと良いでしょう。
⒜ 不動産売買契約書(購入の場合)
⒝ 請負契約書(建物を建築した場合)
⒞ 賃貸借契約書(サブリース・家賃保証の場合)
⒟ 売買仲介手数料の領収書
⒠ 売買契約書の印紙代
② 司法書士事務所・司法書士法人から受領する資料
登記手続の仕事をする業者を司法書士といいます。
意外と後日送付になるケースが多いのでご注意ください。
なお、権利証・登記識別情報は確定申告には要りません(次の売却をするまでは使う機会はない)ので、持ち歩かないようにしてください。
⒜ 全部事項証明書(不動産登記簿謄本)
⒝ 登記に係る費用の請求書・領収書
⇒ 登記費用・登録免許税・司法書士報酬が載っています。
③ 金融機関から受領する資料
⒜ 金銭消費貸借契約書
⒝ 金銭消費貸借契約書の印紙代に係る領収書
⒞ ローン事務手数料の領収書
⒟ ローン保証料の領収書
⇒ ローン保証料は、金利に保証料が含まれないタイプのみ発行されます。
⒠ 返済予定表(返済実績表)
⇒ 返済予定表は、購入時とは別のタイミングで届くと思ってください。
その年の返済予定額が載っているものが必要となります。
繰上返済があった場合、繰上返済後の条件のものも必要となります。
金融機関によっては6ヶ月ごとの発行ケースもあります、揃え漏れに注意ください。
返済実績表として再発行を依頼することもできますが、再発行にはそれなりに時間がかかるのでギリギリにならないようにしてください。
④ 保険会社から受領する資料
1年を超える保険料をまとめて払った場合には、毎年の計算で月割計算が必要です。
領収書だけだと保険期間がわからないので、見積書等も必要とお考え下さい。
地震保険は任意加入なので、未加入なら当然、発行もされません。
あと、投資物件に対する地震保険料控除証明書は月割されていないので、あまり資料としては好ましくありません。
⒜ 火災保険料・地震保険料の領収書
⒝ 火災保険・地震保険の見積書・契約書
⑤ 物件管理不動産会社から受領する資料
⒜と⒝はいずれも新築物件に限り負担が必要なものですので、中古物件の購入の場合には必要ありません。
⒞は売買契約書・引落の通帳・物件のパンフレットなどでもOKです。
⒜ 管理準備金(管理会社より)
⒝ 修繕積立基金(管理会社より)
⒞ 月々の管理費がわかる資料
⑥ 売主から受領する資料
⒝については、物件の取得価額に含めるべきものです。
取得価額ということは、土地=売却時まで経費にできない。建物=減価償却として何年もかけて経費化するものという意味合いです。
⒜ 管理費・修繕積立金の日割精算領収書
⒝ 固定資産税・都市計画税の日割精算領収書
⑦ 借主又は入居管理不動産会社から受領する資料
⒜~⒞は借主から直接又は入居管理不動産会社から受領します。
⒜ 賃貸借契約書
⒝ 更新契約書
⒞ 退去時精算書
⑧ 入居管理不動産会社から受領する資料
入居管理を不動産会社に依頼している場合のみ受領する資料です。
⒜ 賃貸仲介手数料に係る領収書
⒝ 契約事務手数料に係る領収書
⒞ 入居管理契約の契約書
⇒ 契約書の名前はまちまちです。集金代行契約書とか入居管理契約書とか。
⒟ 月次又は年次の収支報告書
⒠ 入居管理に係る手数料の領収書
一棟もので家賃回収を入居管理不動産会社にお願いしている場合には、振込金額の内訳がわからないのでこちらを参照します。
入居者から直接であれば、家賃は預金通帳から追っていただいても構いません。
その場合には、別途、入居管理費の領収書も必要となります。
⑨ 不動産投資関係の税金として受領する資料
経費になるのは主に4つです。
不動産投資が黒字化していたら所得税と住民税の負担もあると思いますが、これらは経費とならないので気にしないで結構です。
⒜ 不動産取得税の通知書又は領収書(都道府県税事務所又は市区町村役場)
⇒ 購入後、1回限りの支払書類です。
購入してから数ヶ月かかるケースもあるのでご注意ください。
⒝ 固定資産税の通知書又は領収書(都道府県税事務所又は市区町村役場)
⇒ 購入した翌年からかかります。毎年5月位に届きます。
明細書に物件ごとの税額も載っているので、同じ管轄で複数物件持っている際は、併せて明細書も保管した方が良いと思います。
⒞ 事業税の通知書又は領収書(都道府県税事務所又は市区町村役場)
事業的規模(本業規模)の場合だけ負担する税金です。
サラリーマン大家の場合には、負担することは考えにくいです。
⒟ 消費税の申告書又は納付済領収書(税務署)
経理方式によりますが、経費になるケースがあります。
詳細は省きますが、住宅以外の賃貸物件をお持ちの場合だけ、負担するものです。
⑩ その他の経費に関する書類
経費の内容ごとにまちまちですが、次の4つの情報がわかるものが望ましいです。
領収書がなければ、請求書+振込書、注文書とクレジットカード明細といった組み合わせでも結構です。
5.結びに変えて
不動産投資の確定申告シリーズ、たぶんこれで完成です。
関連記事がかなり多くなってしまったので、過去記事まとめ編を次回で作成します。
私に依頼いただく場合も参考にしていただけたら嬉しいです。
ではでは~。