副業の確定申告と住民税の関係(払う?戻る?…etc)

Pocket

税金の払い方としてイメージしにくい住民税。

副業があるとどういう支払い方になるのか、所得税との違いも併せて良く質問されます。

既にいくつかの記事で触れているものですが、要点を絞ってまとめてみました。

特に遅れて提出した場合の処理は、あまり聞いたことがないんじゃないかな、と思います。

1.副業のないサラリーマンの税金の払い方

 税金の計算の流れ

  まず、何かしらのサンプル欲しいですよね。
  年収 800万円・独身の方の計算結果がこちら。

① 所得税

 ⒜ 月々の支払(源泉徴収)

 サラリーマンの場合、毎月の社会保険料控除後の給与額に応じて、あらかじめ今年の分の所得税が毎月の給料から天引きされています。(つまり支払済み)
 今回ですと 573,333円という社会保険料控除後の給与額に従って、月々所得税が42,140円天引きされている計算です。
 ただ、この計算はラフな条件設定でやっているので、年収の確定後に再計算するとズレが生じることがことがあります。

 ⒝ 年収確定後の清算(年末調整)

 そこで、ズレを訂正します。この手続きを【年末調整】といい、ざっくり言えば、略式確定申告の制度ということです。
 毎月の予定天引額の累計 42,140円×12回=505,680円
 実際の所得税の額    482,400円
 つまり、このままだと33,180円取りすぎになる。
 ので、12月給与のみ天引きを少なくして調整する。
 12月の天引きだけ 8,960円(42,140円ー33,180円)にしておけば帳尻合うでしょ的な。
 なお、調整は12月ではなく、1月の給料の支払いでする会社もあります。

 ◆給与明細書サンプル◆

② 住民税

 住民税は前年の収入(稼ぎ)で支払う金額が決まり、その天引きは6月から始まります。
 今回は、平成29年の年収 8,000,000円から住民税の課税標準が4,550,000円となり、住民税が455,000円と決まりました。
 この455,000円を平成30年06月から平成31年05月まで、月々37,916円ずつ天引きしていくこととなります(実際には、端数分を06月に寄せて天引きします。)

平成30年06月            38,100円
平成30年07月~平成31年05月    37,900円
年間の天引額       38,100円×1ヶ月+37,900×12ヶ月=455,000円

・・・ここまでが前フリです。前フリが長すぎるっ!

2.副業分を確定申告した場合の税金の払い方

① 所得税

※ 所得税の税率は稼ぎの金額によって変わってくるので一例としてお読みください。

 ⒜ 副業部分で黒字が出た場合

 所得税の支払不足があることになるので確定申告をして、不足分を支払います。
 副業の黒字が100万円あるケースだと、副業の黒字に対する所得税 204,200円は給料から天引きされていない(=払っていない)ことになるので、確定申告と合わせて 204,200円を払わないといけない訳です。

 ⒝ 副業部分で赤字が出た場合

 所得税がとられすぎていることになるので確定申告をすることで税金が返ってきます。
 副業の赤字が100万円あるケースだと、副業の赤字を組み入れたことで、税金対象の所得が100万円少なくなります。
 課税所得に対する所得税 3,500,000円に対する所得税は278,200円で十分。払いすぎている204,200円が返ってくるという訳です。

② 住民税

 住民税も基本的には一緒です。
 こちらは税率が一律10%なので増えるも減るも100万円×10%=100,000円です。

 ⒜ 副業部分で黒字が出た場合

 給与に対する住民税455,000円と副業に対する住民税100,000円を負担する必要がありますが、副業部分に対する住民税は給料から天引き自分で直接払うを選べます。
 この選択は、確定申告書の第二表に記入します。見づらいけど下図参照!

拡大すると・・・

こんな感じです。

 ここで、給与から天引きに「〇」を付けてしまうと、給与に比べて天引きする住民税が高すぎて、副業が会社にバレるリスクがあります。
 必ず自分で納付に〇をつけましょう!

 ⒝ 副業部分で赤字が出た場合

 住民税が355,000円となります。副業に対する住民税の支払いはないので、すべて給与から天引きとなりますが、住民税が減る理由までは会社にはわからないので、まぁ、聞かれたらふるさと納税でもしていたことにしときましょう。

3.期限を過ぎてから確定申告をした場合

① 所得税

 納税も還付も本人でするので、基本的には2のケースと変わりません。

 今回のメインではありませんが、期限過ぎての確定申告は3つペナルティがあることを覚えておきましょう。

 ペナルティ① 延滞税
 ⇒ 税金の支払いが遅れたことによる利息です。
       本体所得税とは別に最初2ヶ月は約3%、3ヶ月目からは約9%かかります。

 ペナルティ② 無申告加算税(過少申告加算税)
 ⇒ 期限までに確定申告をしないことによる罰金。
   本体所得税×ペナルティ率で計算します。
       悪質だと35~40%、通常だと15~20%、早期かつ自主的だと5%です。

 ペナルティ③ 青色申告の取消
 ⇒ 青色申告の特典は、優良な確定申告者のための制度です。
   2年連続で期限を守らないと青色申告のライセンスをはく奪されてしまいます。

 実際のところ、赤字申告では確定申告の際に税金の支払いがない(=ペナルティの金額が計算できない)ことから
 黒字の確定申告・・・①~③のペナルティ
 赤字の確定申告・・・③のみのペナルティ
という組み合わせになります。

② 住民税(赤字の確定申告の場合)

 住民税は給料天引きという兼ね合いがあるので、タイミングによって取扱いが異なります。
 黒字の確定申告は自分で納付を選ぶ(=所得税と同じような処理となる)でしょうから、赤字の確定申告に限定して考えていきましょう。
◆給与だけでの住民税の支払条件◆

 ⒜ これからFIXして何とかなる場合

 例えば、赤字100万円の確定申告を平成30年09月にして、10月以降FIXするとします。
 トータルの住民税が355,000円になり、次のような形になります。

 ⒝ FIX仕切れない場合

 例えば、赤字100万円の確定申告を平成31年03月にして、04月以降FIXするとします。
 今回のケースだと03月の時点で徴収税額が訂正後の355,000円を超えてしまっているため、04月以降の徴収を0円にする徴収し過ぎの24,200円を還付するという流れになります。

なお、今回のように還付となる場合でも、その旨の連絡は天引きを行う勤務先です。
その上で、勤務先と社員で相談の上、次のいずれかの方法で清算します。
イ 勤務先に24,200円を還付し、勤務先から社員に還付する方法 
ロ 社員の口座に直接還付する方法

はい。この記事1つで数日喰いましたが。
今日書きたいところはそんなところです。

ではでは~。

Comments

comments

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加