キャッシュフローとキャピタルゲイン(不動産の売却益)の違い

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不動産の売却でお客様や不動産会社が良く言われること。
そうじゃないんだよーーーーーーーーー!と声を大にしたかった事をお伝えしたい本日の記事でござんす。

1.よく聞くちょっと待ったトーク

① 買った物件が(6年後に)購入価額より安く売れたから、売却益は出てないよねー。

② 売却代金から売却手数料と残債払ったら手残りマイナスだったから売却益出ないよねー。

ごめんなさい。税金の上での売却益は、それだけでは決まらないんス。

2.不動産の売却益の計算について解説!

(1)不動産の売却に対する税金(税率)

不動産を売却し売却益が生じた場合には、売却益に対する税金を支払う必要があります。
所得税(国)と地方税(自治体)それぞれに次の税率分を納税します。

(2)所有期間と税率について

税率区分にあった所有期間は【売却年の1月1日に5年超所有しているか】で判断します。
例.平成29年5月購入した物件を、①平成34年9月、②平成35年9月にそれぞれ売却した場合
という感じです。不動産会社さんとかは【購入後に1/1を6回迎えたら長期所有になります】とか言いますね。

(3)不動産の売却益の計算

不動産の売却益は【売却収入-(売却原価+売却費用)】で計算します。
なお、売却損となった場合には、売却に対する税金は発生しません。

3.大事なこと①!~購入金額=売却原価ではないんやで~

不動産の売却原価は【購入価額-過去の減価償却累計額】で計算します。

建物の減価償却が進行しているため、ぜったいに購入価額より少なくなります。

新築RCの6年保有時は次のとおりです。(建物のうち躯体を70%・設備を30%と仮定した場合)

・・・自宅利用の場合だと、多少処理が違いますしピンと来にくいですけど。

投資物件なら気づいて頂きたいのが、所有の間に経費にしたのは売却の際には経費にできねぇんでゲスよ。ということ。

4.大事なこと②!~売却費用はかなり限定的ですぜ!兄貴!~

投資物件からイグジットする際、支払うもんだと言われるのは次の5つです。

① 買主探してもらう売却の仲介手数料

② 売買契約の印紙代(売主負担分)

③ 残債の返済

④ 繰上返済の手数料

⑤ 売却したことによる税金

経費にできる売却費用は、あくまで【不動産の売却のために要した費用】を指します。

ですので、修繕費や固定資産税を始めとする不動産の所有・維持に関する費用は含まれません。

また、ローン返済や売却に対する税金の支払いも売却後の清算に過ぎないため、売却費用とはなりません。

区分マンションの売却の場合、金額として大きい仲介手数料(売却金額の約3%)を覚えていただければ充分です。

5.まとめてみるとこんな感じになりますよ

という訳で、最初の話を確認すると。

① 2,500万円で買った物件が(6年後に)2,350万円で売れたから、売却益は出てないよねー。
⇒ 出てます。
② 2,350万円で売却したけど、売却手数料と残債払ったら手残りマイナスだったから売却益出ないよねー。
  ⇒ 出てます。
という事になるわけです。
(正直、②は金利4.0%というだいぶ無茶なローン設定なので、普通は手残りマイナスにはなりませんけど・・・)

6.用法・用量をお間違いなく。今回の設例が使えないケースも多々あるよ。

ここまでの計算は、新築RC(賃貸用不動産)のケースです。
不動産の売却税は特例が多いので、次のケースでは個別の回答とさせて下さい。(そのうち記事増やすかも)
・ 売却物件の躯体がRC以外の場合
→ 例えば木造新築の場合には躯体の減価償却の計算年数は22年になります。
・ 売却物件が購入時点で築古の場合
→ 減価償却の計算年数は築年数分だけ短くなります。
・ 売却物件がご自宅である場合
→ 減価償却の計算年数が異なります。
また、自宅売却用の特例(売却益から 3,000万円控除)があります。
・ 相続・贈与などで承継した物件の場合
→ 取得価額や所有期間の考え方が通常と異なります。

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